大阪府咲州(さきしま)庁舎の食堂。入管に行ったときにたまにランチに寄るのですが、先日みたらこんなの(↓)をやってました。
福島のみんなを応援しよう.
がんばろう福島 そして頑張れ知事
キャンペーン! パート1
みんなで福島のお魚を食べよう!!
全てのお弁当&定食に福島のお魚を
もれなくもりつけます
東京電力が核燃料と接触した汚染水を垂れ流している福島近海でとれた魚を、「もれなくもりつけ」てくれるのだそうだ。どの弁当・定食を選んでも、「福島のお魚」から逃れることはできない。大阪府庁の食堂で食事をするかぎり、「福島のお魚」の入っていないメニューは選択できないのである*1。
なんというか、この「福島のお魚」を忌避するなんてゆるさないぞ的な姿勢が、不気味すぎる。全メニューに「もれなくもりつけます」というこの執念は、どこからくるの?
そもそも、福島のお魚を食べることで福島のみんなを応援しようという言いようが、倒錯しているにもほどがある。福島の漁業関係者に損害をあたえているのはだれか。東京電力と日本政府である。東京電力による核汚染水の海洋投棄について、政府は地元の漁業者の反対を無視してゴーサインを出した。そのことが中国の禁輸措置をまねいて漁業者に大打撃を与えたのである。「福島のみんなを応援」したいなら、日本政府と東京電力に汚染水の海洋投棄をやめさせる以外にない。
それに、禁輸措置で損害をこうむっている漁業者は、福島のそれにはかぎらないのであって、なんで「福島のみんなを応援しよう」「みんなで福島のお魚を食べよう」となるのか。しかし、ここは、あんがい重要なポイントであるような気がする。
この「食べて応援」キャンペーンとは、健康被害の懸念が高い食品は避けようという市民の意思・行動に対する憎悪に動機づけられているのではないだろうか。だから、禁輸措置で損害を受けた日本の漁業者全般ではなく、「福島のみんな」を応援しようという形をとるのではないのか。
問題とされているのは、漁業者などが現にこうむっている損害ではなく、放射能汚染された食品を避けようという行動をとる市民の存在であり、そうした市民が増えていくことの懸念である。そう考えると、なぜキャンペーンが「福島のお魚を食べよう」という形になるのか、理解ができる。これは福島応援ではなく、「福島のお魚を(公然と)忌避するやつはゆるさない」「汚染を問題視する言説はゆるさない」というキャンペーンなのではないか。
「全てのお弁当&定食に福島のお魚をもれなくもりつけます」という、この執拗さも同じ動機から説明できるのではないだろうか。食品の放射能汚染と健康への影響に関心をもつこと、そうした関心にもとづいて自分たちの口に入るものを選択しようという意思・行動への憎悪のあらわれこそが、この「もれなくもりつけます」なのではないか。
ところで、さきの「福島のみんなを応援しよう」のポップ、「がんばろう福島」はともかく、そのうしろの「そして頑張れ知事」はなに? 知事って吉村のことか? 府庁の食堂の業者が府知事になにか忖度しようとしているんだろうなというのがみえ、ここにも維新府政の腐臭がただよってるのでした。
《注》
*1: ただし、じつは私が行った日は「唐揚げ定食」(460円)というのがありました。全メニューのうちこれだけは魚が入っていないようだったので、これを選んで食べました。こっそり「逃げ道」を用意しておいたということなのか。
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