2024年12月17日

2024/12/27キャンドルアクション 大阪入管前で抗議の声を

  年末のキャンドルアクション、今年もやります。大阪入管前で抗議と被収容者への激励の声をあげます。

 以下は、呼びかけのチラシから。


2024キャンドルアクション

 今年は2024/12/28(土)から2025/01/05(日)まで、大阪入管はお休みです。

 その間被収容者は誰にも面会できず、家族にも会えない年末年始を過ごすことになります。難民や日本に家族がいるなどのやむを得ない事情のある人でも、いつまで収容されるのか、常に強制送還されるかもしれないという恐怖と絶望が常に付き纏います。

 そのため、家族友人はもちろん、支援者や市民からの応援の言葉、掛け声が何よりも希望なのです!激励の声を届けましょう!ぜひご参加ください!

2024/12/27(金)19:00~20:00
場所: 大阪入管前 ※途中参加途中退出ok
(最寄り駅: コスモスクエア駅)

主催: TRY~外国人労働者・難民と共に歩む会~


2024キャンドルアクションのチラシ


 このキャンドルアクション、今回で8年目になります。大阪入管で面会活動している団体や個人がいっしょに取り組んできた企画で、例年TRYさんが主催をになってくれています。

 最初にこの企画をおこなったのは、2017年の12月です。収容の長期化が非常に深刻だった時期です。参加を呼びかけた当時のチラシには、「大阪入管では、収容期間が2年、3年をこえても出所できないという、超長期収容が常態化してい」ることを指摘したうえで、つぎのように書いています。


 収容期間が2年や3年と長期化するのは、大阪入管が送還の見込みの立たない人の収容に固執しているからにほかなりません。送還のための施設でありながら、その見込みがないのにいたずらに監禁をつづけるのは、入管法での収容の位置づけから逸脱しており、事実上の懲罰・制裁を科すものといえます。また、長期収容は国家権力が恣意的に被収容者のの心身に苦痛を与えるものであり、拷問と言っても過言ではありません。

 大阪入管で長期間にわたって収容されている人々の多くは、難民であったり、日本に家族がいるといった理由で、帰国できない事情をかかえた人たちです。こういった人々を長期収容して在留の意思をくじき、帰国に追い込もうという現在の大阪入管の方針に対しては、収容されている当事者たちによる抗議も日々おこなわれています。被収容者たちに、外から励ましの声を届けましょう。


2017年のキャンドルアクションのチラシ


 帰国に追い込むために身体を拘束しつづけるということ。チラシでは大阪入管を問題にしていますが、こうした拷問としか言いようのない異常なやり方は、全国の入管でおこなわれていました。その結果として、入管での収容死が全国的にあいつぎました*1

 大阪入管では、死亡者こそ出なかったものの、2017年には、被収容者がのちに国に賠償を求め訴訟になった暴行事件が2つありました*2。長期収容が被収容者たちの抗議を頻発させ、これを暴力の行使と威嚇によっておさえこむという大阪入管の手法が、これらの事件を生み出したのだと言えます。


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 こうして長期収容への抗議として始めたのがキャンドルアクションでしたが、8年目の今年は当時と状況が変わっているのも事実です。

 現在、大阪入管では6か月をこえる長期の被収容者はほとんどいません。2017年当時は、2年をこえるような超長期収容がめずらしくもなかったのと比べると、大きく違います。被収容者のうち、在留を希望している人の数も、いまは10名もいない。

 これが、わざわざ入管前での抗議行動をやる必要性が小さくなっているということならばうれしいのですが、残念ながらそうでもないのです。むしろ、今年こそキャンドルアクションをやらなければならないという思いが、私は強いです。それは6月から施行されている改悪入管法のせいです。


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 入管法の改悪にともない、監理措置という新しい制度が創設されました。

 監理措置というのは入管の収容に関する制度ですが、簡単に言えば、家族や友人・支援者などを「監理人」という監視役につけるかわりに、収容を解除して入管施設外での生活を許可するという措置です。

 この制度がいかにやばい問題をふくんでいるかについては、以下の記事などで書いていますが、今回はそこには立ち入りません。

宇宙広場で考える: 支援者を人権侵害の共犯者にする 監理措置制度のやばさ(2024年11月10日)

 とにかく、この新しい制度の実績をつくって早く定着させたいからなのか知りませんが、大阪入管は監理措置を申請した被収容者はどんどん許可して出所させています。なので、家族や親族、知り合いなどに「監理人」を引き受けてもらって監視措置を申請した人は、さほど収容が長くなるまえに、収容を解かれて外に出ていきます。

 いっぽうで、入管法改悪前から制度としてある「仮放免」については、例外的にしか認めないという方針を、入管は現在とっています。大阪入管でも、改悪法の施行後、仮放免申請はほぼほぼすべて不許可になっています。

 そういうわけで、「監理人」を引き受けてくれる人を見つけられない、たとえば空港で拘束されて収容された難民申請者は、収容を解かれて入管施設の外に出られる見込みがない、という状況に置かれてしまうわけです。

 従来であれば、そういう人たちについては、支援者や弁護士が身元保証人を引き受けて、「仮放免」という措置によって収容から解放されるということが多くありました。しかし、その仮放免は申請しても入管は許可しない。あたらしくできた監理措置のほうであれば、申請すれば入管が認める可能性は高いけれど、うえのリンク先の記事でも書いたとおり、制度の問題が大きすぎて、支援者や弁護士で「監理人」を引き受ける人はいない。

 私の面会している人のひとりも、まさにそういう状況にはまりこんでしまっています。自分の国での政治的な迫害から逃れてなんとか関西空港にたどりついたけれど、そこで拘束され収容されてしまった人です。私たち面会におとずれるボランティアの支援者のほかに、日本に知り合いなどひとりもいません。「監理人」の引き受け手などいるはずもない。

 家族などがいて監理人を引き受けてもらって監理措置を申請できた被収容者は、ひとり、またひとりと収容を解かれて去っていきますが、この人は外に出られる見込みもないまま、何か月も取り残されています。こうしていつ終わるとも知れない収容が続くこと自体が、大変なストレスでしょう。

 また、身体が拘束された状態では、自分が難民であることを裏づける証拠を集めることも不可能です。入管は収容によって難民申請者の立証作業を妨害しているのです。

 というわけで、入管による不当な収容に抗議の声をあげる必要性も、また収容された人にはげましの声を届ける必要性も、残念ながら減ってはいません。ぜひいっしょに声をあげてください。







*1:  2018年4月には茨城県牛久の入管センターで長期収容を苦にしてインド人被収容者が自殺しました。仮放免の不許可を知らされた翌日の自死でした。
 おなじ年の秋には、宗教的な迫害から逃れてきた中国人親子を福岡入管が拘束。入管は難民申請した親子の収容を継続し、執拗に帰国をせまり、持病のある父親を収容死させました。遺族が国に賠償を求めた裁判は、先日(12月12日)、請求棄却という(不当な)一審判決が大阪地裁で出たところです。しかし、亡くなった父親は、「不当な収容(監禁)によって難民申請者の立証作業を妨害し、保護を求めてやってきた難民を追い返そうとする」「ゆがんだ入管行政」の犠牲者と言うべきでしょう。
 2019年6月には、長崎県大村の入管センターで、3年半もの超長期収容に抗議してハンストしていたナイジェリア人被収容者を入管がほったらかして餓死させました
 そして、2021年3月。体調不良で食事をとれない状態が続き飢餓状態にあったウィシュマさんを名古屋入管が放置し、死に追いやった事件。


*2: このうち、2017年7月にトルコ国籍の被収容者が入管職員たちから暴行を受けた事件については、2020年9月29日に被害者と国のあいだで和解が成立しています。
 もう1つの、ペルー人被収容者が暴行を受けた事件の国賠訴訟は、現在も大阪地裁で係争中です。

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