2024年4月27日

入管法施行反対 4.28全国行動 サ条約発効の日に

 

 前回記事の最後でふれましたが、4月28日(日)に入管問題について以下3つのテーマで全国一斉行動がおこなわれます。

(1)改悪入管法施行反対
(2)監理措置制度反対
(3)ウィシュマさん死亡事件の責任追及

 この日の行動の呼びかけは「入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合」によるもので、開催の趣旨等は、以下のリンク先で読めます。


【4.28全国一斉行動の呼びかけ】 #入管法改悪反対


 各地での開催予定については、(見落としなどあるかもしれませんが、私がみつけられたものを)リストアップしておきます。こういうとき、北から南の順番で並べることが多いと思うので、今回は南から順番にしてみます。


福岡

改悪入管法施行に抗議する連続アクション第2弾
(外国人差別に抗するお茶アクション)
【日時】4月28日(日)14:00~16:00
【場所】浜の町公園(福岡市中央区舞鶴3丁目4)
詳細(ツイッター)


高知

場所 こうちオーテピア西側
時間 11-12時
飛び入り参加可能
詳細(ツイッター)


広島

スタンディングアクション
13時~14時 
八丁堀福屋前
※チラシを配りながら市民の方に呼びかけます
※手ぶら/途中/初めて の参加歓迎!
詳細(ツイッター)


倉敷

日時:4月28日(日) 11時~12時
場所:倉敷駅前南デッキ(雨天の場合北デッキ)
形態:スタンディングアクション+デモ
主催:入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合
共催:憲法を守る倉敷市民の会、アムネスティ・インターナショナル日本 倉敷グループ


大阪

4/28(日)
13:00扇町公園集合・集会 
14:00デモ出発
詳細(ツイッター)


名古屋

日時 2024/4/28 13:30~14:30
場所 名古屋駅 桜通口交番前
携帯 スタンディングアクション
詳細(ツイッター)


川崎

2024年4月28日(日)14:00~15:00
JR川崎駅東口周辺にて
多文化共生推進の川崎市。#永住許可の取消しに反対します も訴えます。
主催団体なく、個人で集まりますので
賛同くださる方どなたでも飛び入り参加OKです。
詳細(ツイッター)


東京

4.28全国一斉アクション
改悪入管法施行反対デモ
in東京・上野
日時:2024年4月28日(日)13時半集合 14時デモ隊出発
場所:上野恩賜公園 湯島口(池之端一丁目交差点近く)
詳細(ツイッター)


仙台

2024.4.28(Sun. )
11:00~12:00
場所:「リッチモンドホテルプレミア仙台駅前」前
形態:スタンディングアクション
詳細(ツイッター)




 さて、今回の改悪入管法の施行とは、あんまり関係なさそうで、でもぜんぜん関係ないわけでもない話をちょっと。

 この全国一斉行動のおこなわれる日は4月28日ですが、奇(く)しくも1952年のこの日はサンフランシスコ講和条約が発効された日です。

 同条約発効にともない、日本政府は朝鮮人・台湾人の日本国籍を一方的に剥奪しました。そこにいたる経緯は、現在にも引きつがれている日本の入管政策・外国人政策のゆがみを考えるうえで重要なのではないかと思います。

 さかのぼること5年、1947年5月2日、日本国憲法施行の前日、天皇裕仁による最後の勅令「外国人登録令」が公布され、同時に施行されました。日本は台湾および朝鮮を侵略して植民地化したので、台湾人・朝鮮人は日本国籍を持つ日本国民にされていたわけです。ところが、「外国人登録令」は、「台湾人のうち内務大臣の定めるもの及び朝鮮人は、この勅令の適用については、当分の間、これを外国人とみなす。」(第11条)として、日本国民であるはずの旧植民地出身者に外国人登録を強制しました。

 こうして、日本にいる朝鮮人と台湾人は日本国民でありながら、みなし外国人として登録を強制され、日本国憲法の規定する権利主体としての「国民」の外に置かれ、差別的な管理・統制の対象にされました。

 そして、1952年4月28日、日本政府はその国籍を、当事者の意思確認をすることもいっさいなく、一方的に剥奪したのです。植民地化によって付与を強制した日本国籍を、こんどは強制的に剥奪したということです。

 日本の入管政策、もっと広くいえば外国人政策がこのようにして始まったということ、そしてその歴史への反省・総括を欠いているということは、くりかえし思い返し、問題にしなければならないと思っています。

 日本の敗戦をへて朝鮮人や台湾人が日本で暮らしてきたのは、いうまでもなく日本による侵略・植民地支配に起因することです。したがって本来であれば、その旧植民地出身者とその子孫について日本国家が在留管理の対象にする、つまり「日本にいてもよい/よくない」を日本の国家がきめてよいということにしている現行の制度自体が、おかしいのです。日本国家にそんな資格はない。

 ところが、おおざっぱながら上にみてきたように、まったく道理を欠いたかたちで、管理すべき対象としての「外国人」というカテゴリーを創出し、そこに朝鮮人や台湾人を置いた、というところに日本の入管政策は始まっているわけです。

 1990年の入管法等の法改定をへて、入管は、いわゆるニューカマーの外国人労働者を主たる管理対象とする組織へと変化してきたといえるでしょう。しかし、そうした変化はあっても、入管政策がその始まりにおいてかかえこんだゆがみは、正されることなく現在にもそのままひきつがれている。そう考えるほかない事実が、こんにちの入管をみていてもさまざまに見つかるのですけれど、その話はこんどまた書きたいと思います。

 わたくしは、28日は大阪の集会・デモに参加します。




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2024年4月16日

「痛みで沈静化させる必要があった」 入管、また犯罪を自白

  東日本入管センター職員による被収容者への集団暴行事件。暴行を受けたクルド人のデニズさんが国に賠償を求めた裁判の控訴審で、国に22万円の賠償を命じた一審判決を支持する判決が出たとのことです。


入管職員の暴行「合理的に必要な限度を超えた」と東京高裁 クルド人男性に国が22万円支払う一審判決を支持:東京新聞 TOKYO Web(2024年4月11日 19時23分)


 上記リンク先の東京新聞の報道によると、この控訴審で国側がとんでもない主張をしているようです。


 判決によると、デニズさんは2019年1月18日夜、居室内で睡眠薬の提供を拒否され、大声を出すなどして抗議。処遇室への移動を命じられ抵抗したため、複数の警備官が体を押さえつけた。警備官がデニズさんの顎の下の「痛点」を20秒以上強く押したり、後ろ手に手錠をかけた腕を持ち上げたりした行為を違法と認定した。

 控訴審で国は「痛みで沈静化させる必要があった」などと主張。弁護側は「もともと暴れておらず制圧の必要がなかった」とし、高裁はいずれも認めなかった。デニズさんの代理人の大橋毅弁護士は「デニズさんと相談して上告するかどうか検討する」と語った。


 国側が公然と「痛みで沈静化させる必要があった」と主張しているのは、おどろくべきことです。

 そもそも「痛みで沈静化させる」っていったい何なんですか。ぜんぜん意味がわかりません。「沈静化」とは、「落ち着かせる」ということでしょうか。デニズさんが興奮して落ち着かない状態にあったのだとして、「痛み」を与えたら興奮がおさまって落ち着く、などということがありますか??? ふつうは「沈静化」どころか、いっそう興奮するのではないですか。

 ところが、「痛みで沈静化させる必要があった」などというアホな書面を書いた国側の代理人の訟務検事ども、それからそんな書面を書かせた入管の役人どもは、そうではないようです。この人たちは、他者から痛いめにあわされたら、落ち着くんですって!

 私はこいつら一人ずつぶんなぐってやりたいですね。それで「痛い」「やめろ」「なにをするんだ」とか怒ってきたら、「落ち着けよ。おまえら痛みで沈静化するんだろ? ほら沈静化させてやるよ」と言ってもう一発ずつなぐりとばしてやりたい。

 もし「痛みで沈静化させ」たように暴力をふるった者の目に見えるなどということがあるとすれば、それはその暴力を受けた相手がはげしい痛みや恐怖のために、抗議や抵抗する意思をうしなったか、あるいはその意思を表現しなく(できなく)なったからです。このように、暴力をふるうことで痛みや恐怖を与え、その相手の意思や行動を変えようとする行為を、ふつう「拷問」といいます。

 つまり、「痛みで沈静化させる必要があった」ということを国側が法廷で主張したということは、デニズさんに対して「必要があったので拷問しました」と自白したことになります。ところが、判決は入管職員の違法行為を認定したものの、国に支払いを命じた賠償金は22万円!

 賠償金の額がどのように計算されて決まるのか知りませんが、公務員による「拷問」が賠償金たったの22万円ってどういうことなのでしょうか。下手人(=入管)が「あれは拷問でした」と自白しているのに?

 日本国憲法第36条には「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁じる」と書かれています。自民党は、この条文の「絶対に」を削除して、「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、これを禁止する」とする「憲法改正草案」を発表しています。つまり、公務員は必要とあれば拷問してもよい、というふうに、自民党は憲法を変えようとしているわけです。

 でも、わざわざ憲法を変えるまでもありませんね。公務員が暴行をはたらいて被害者から訴えられた裁判で、国側が事実上「あれは拷問だった」と悪びれもせずに認めている。しかも、それでも裁判官は入管職員の行為が憲法の禁じる「公務員による拷問」であると認定しない。賠償金もたったの22万円。改憲を待つまでもなく第36条はもはや死文化しているのではないでしょうか。



 最初にリンクして紹介した東京新聞の記事を書かれた池尾伸一さんは、ご自身のフェイスブックに以下のように投稿しています。


この裁判で腰が抜けるほど驚いたのは入管庁がデニズさんの顎下の「痛点」を押し続けた理由を「痛みによりおとなしくさせる必要があった」と正面から主張したことです。「痛み」を行政手段に使うのは近代国家ではありえない話。入管の人権感覚まひを象徴する発想です。

さらに驚いたのは、デニズさん側が勝ったのに、裁判所が国に命じたデニズさんへの賠償金が22万円だったこと。弁護士費用にもなりません。

政府も裁判所も一体どうなっているのでしょうか。国際的な人権感覚がここまで遅れて、経済だけでなく人権でも、歯止めなく「下流国家」に向かっているようです。


 「腰が抜けるほど驚いた」という池尾さんの感想に、強く共感をおぼえます。これはおどろかなければおかしい、おどろくべきことなのです。



 入管が長期収容を帰国強要の手段としておこなっていること、そしてそのことを隠してすらいないことを、私はくりかえし問題にしてきました。このブログでも、たとえば以下の記事で書いたように、そればっかり書いているぐらいです。


「すがってはいけないワラ」とか言うなら浮き輪でも投げて助けろよ 入管法審議での維新・梅村氏の発言について(2023年5月13日)

「強制送還を忌避」させないための無期限収容 入管庁西山次長の国会答弁は憲法36条への挑戦ではないのか?(2023年4月21日)


 入管が長期収容を通じて帰国を強要しているということ。つまり、それは「収容」という措置を相手の意思を変えさせるための手段としてもちいているということであり、精神的・肉体的な苦痛を与えることで他者を自分たちの思うように行動させようとしているということです。まさしく「拷問」と呼ぶべきことを入管はおこなっているのですが、もっとおどろくべきことは、上にリンクした記事で述べたように、法務大臣も入管庁次長もそのことを事実上みとめる「自白」をぽろぽろこぼしているという事実です。入管庁の公式ウェブサイトでも、入管のおこなう長期収容が帰国強要を目的にしたものであることを、正直に告白しています。

 ところが、法務大臣も入管庁次長もその発言を追及されて辞職に追い込まれることはなく、こんにちにいたるわけです。

 入管という組織が野蛮におおわれているのは明白ですが、その野蛮さはいまやまったくかくされていないのです。入管が拷問をおこなっている事実は、秘密でもなんでもない。だって、そこのトップやら幹部やらがそう自白しているのだから。

 問題なのは、私たちがそれを容認するのか、しないのかというところです。いちいちおどろくことをやめて、あたりまえなものとしてこれを受け入れてしまうならば、われわれもまた野蛮から抜け出す機会をうしなうことになるのではないでしょうか。(了)


◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆


 4月28日に改悪入管法施行反対などをテーマに全国での街頭行動がよびかけられています。


【4.28全国一斉行動の呼びかけ】 #入管法改悪反対 - 入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合



 以下、大阪・東京でのデモの告知もはっておきます。


【大阪】

2024年4月28日(日)
13:00 扇町公園集合・集会
14:00 デモ出発→西梅田公園流れ解散




【東京】

日時:2024年4月28日(日)、13:30集合、14:00デモ隊出発
場所:上野恩賜公園 湯島口(池之端1丁目交差点近く)













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