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| 5/24 10:23配信『静岡朝日テレビ』 ニュース画像のスクリーンショット。 「……在留期間を約2週間超えて不法残留 インドネシア国籍の男(21)を逮捕」 との見出し |
けったくそ悪いので、写真だけ。リンクははらない。
これは静岡朝日テレビのニュースだけど、ここ数年のあいだに、他のとくに地方のマスメディア(茨城新聞とか神戸新聞とか)でも、警察が「不法残留」あるいは「不法就労」の外国人を逮捕したというニュースがネットで配信されてるのを、やたら目にするようになった。
こんなものを報道する意義がいったいどこにあるんだろうか?
入管庁の発表によると、2026年1月1日時点での「不法残留者数」は6万8,488人人だという。日本全国で6万人超もいるうちのひとりが見つかったから何だというのだろう。
日本人の血液型でAB型は10人に1人ぐらい、Rhマイナスの人は200人に1人ぐらいなんだそうだ。したがって、AB型でRhマイナスの人は2000人に1人*1。日本の人口*2が1億2000万人ぐらいとして、その1/2000は6万人。「不法残留者」の人数とだいたい同じぐらい。
「AB型でRhマイナスの人が菊川市内でみつかりました」などというニュースがナンセンスなのはあきらかだろう。それが「不法残留者が菊川市内でみつかりました」という話だと、わざわざ報道されてしまうのはなぜなのか? 「AB型でRhマイナスの人」と「不法残留者」のあいだのちがいとは?
まあ、警察官が「不法残留者」を見つけたらつかまえる、というのはわかるのですよ。ただ、それは警察組織の上のほうで「不法残留者」を見つけたら逮捕するということに決めていて、末端の警察官たちはそう命令されているからにすぎない。
その証拠に、1990年代には、警官に在留期間がすぎたオーバーステイだということがバレたり、あるいは自分からそれを話したりしても、逮捕なんかされなかったという例はめずらしくもなんともない。当時、オーバーステイだった人たちに話を聞くと、そんな証言は山ほど得られるよ。
警察官が「不法残留」を見つけたらただちに逮捕するようになったのは、2000年代に入って、政府が「不法残留者」を徹底して減らそうという方針に転換して以降のこと。
つまり、「不法残留者」が逮捕されるのは、警察の方針がそうなってるというだけのことにすぎないわけだけれど、まあそれはともかく、たしかに現在では警察官は「不法残留者」を見つけたら逮捕する。警察がそうするのは、まあわかる。いまどきの警察はそういう方針なんですね、と。
でも、それ、静岡朝日放送さんが報道する意味がどこにあるんだろう?
AB型でRhマイナスの人はたしかに「めずらしい」と言えば言えなくもないけど、日本全国に6万人もいるのであって、そのひとりが静岡県菊川市にいることがわかったからって、報道しなければならない理由になんかならない。
ちょっとめずらしい血液型ではなく「不法残留者」だったらそこを報道すべき理由がなにか発生するのだろうか。その報道になにか公益性とかあるわけ? たいして希少性(めずらしさ)もなければ、それを報じることでわれわれ人民大衆の福祉が向上するなんてこともいっさいない。
記事を読めばすぐわかるのだけど、これは静岡朝日放送さんが報道する意義があると判断して取材して報道したものではない。警察が提供した情報をそのまま流したものにすぎない。だから、警察の広報にテレビ局が自分の媒体を使わせてあげた、ということですね。
では、どうして警察はこれを広報したいんだろうか? 「不法残留者をつかまえました」「認められた在留期間が120日だったのを2週間もオーバーして残留してたんです」。あっそう、だからなに? という話である。バカバカしいにもほどがある。
確実に言えるのは、「警察が●●を不法残留の容疑で逮捕した」という報道がくり返されることで、外国人への偏見が読者・視聴者に植えつけられていくだろうということだ。「不法残留」している人が私たちにとってどんな不利益なり迷惑なり与えているのかということはなんら具体的に示されることなく(そんな不利益や迷惑など存在しないわけだけど)、外国人のなかには「不法残留」というルール違反をおかしている者がいるらしいという情報がわれわれの頭にたたきこまれていく。「警察がつかまえるくらいだから何か悪いやつなんだろう」というイメージをまといながら*3。
すくなくとも、「不法残留者」なるものが存在していることよりも、外国人への偏見をばらまく効果のある報道のほうがよっぽど有害じゃないんですかね。

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