鹿児島県内の病院が、診察を受けに来た外国人の患者を警察に通報。警察がこの人を「不法残留」の容疑で逮捕したという記事を読んだ。
6月19日に南日本新聞がオンラインで報じている。ただ、記事を掲載しているのが、コメント欄での差別書き込みを放置し、差別主義者を積極的に呼び込むことで「炎上」騒動を起こしページビューをかせぐという差別便乗商法をとっている「Yahoo!ニュース」なので、記事へのリンクは貼りません。南日本新聞のサイトに同じ記事が掲載されていれば、そちらのリンクを紹介することもできるのですが、どうもそっちには掲載されてないようなので。
まあそれはともかく、南日本新聞の報じるところによると、6月19日、この患者は受診したさいに身分証を提示しなかったため、病院が通報したのだそうだ。この人の在留期間は16日までで、3日ほどオーバーステイになっていたので、警察は逮捕した、と。
こういうニュースに接してまず思うのは、「不法残留」とか「不法滞在」といった言葉がいかに非正規滞在外国人(在留期間がすぎたり、あるいは在留資格が取り消されたりした外国人)への偏見をもたらしているかということである。
在留資格がないというのは、たんに入管局という行政機関が在留資格を許可していないということにすぎない。診療を受けに来た患者をいちいち病院が警察に通報しなければならない理由になるわけがない。そんなもんわざわざ通報するなら、日本人なんてだれひとりとして日本での在留資格なんて持ってない。診察受けに来た日本人みんな警察に突き出すんですか、という話である。日本人患者は入管局の認める在留資格なんかなくても通報しないのに、外国人患者の場合だけは在留カードを提示できなかったら警察に突き出すとか、そこに合理的な理由なんてありようがない。ところが、「不法残留」「不法滞在」という言葉とともに、それがさも危険な犯罪であるかのようなイメージが広がっているために、警察に通報などという無用な行為を病院などがしてしまうのではないのか。
深刻なのは、こうして病院が非正規滞在の外国人を警察に通報するということをやってしまうと、非正規滞在の人は、通報されることを覚悟しないと病院に行けなくなってしまう、ということである。人の生き死ににかかわることなので、医療機関はよくよく考えてほしいと思う。
以前このブログに書いた記事を下にリンクしておきます。
上に書いたようなこととともに、国公立であれ民間であれ、医療機関には、オーバーステイの外国人が受診しにきた場合、通報しなくてもよいと、入管庁ですら言ってますよということも、書いてあります。
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