今朝、東京入管に収容されているかたから、電話があった。このかたの収容されているブロックから、昨日、また新たに2人の新型コロナウイルス感染が判明したとの連絡だった。
東京入管では、2月15日に被収容者4人と看守職員1人の感染(PCR検査での陽性)が判明して以来、感染拡大がとまらない。入管庁ウェブサイトの「東京出入国在留管理局収容施設における新型コロナウイルス感染の状況」というページで公開された資料によると、昨日(3月1日)被収容者2人の陽性が判明し、計57名の被収容者の陽性が確認されたことになる。
私に電話をしてくれたかたによると、おなじブロック(収容区)には2月15日時点で20人が収容されていたが、PCR検査をするたびに陽性者が出て、昨日時点で合計12人が陽性と判明したとのことである。陽性とわかった被収容者は他のブロックに移動させられたということで、20人いたこのブロックの被収容者は現在では8人まで減っているという。
おどろいたのは、この感染がつぎつぎと判明していった2週間のあいだ、東京入管は雑居(1つの部屋に複数人が起居する状態)を解消せず、放置していたということだ。たとえば、4人が収容されていたある部屋では、2月16日に1名がPCRで陽性と判明して他のブロックに移動させられたが、東京入管はその後も残りの3名をいっしょにこの部屋に収容しつづけて寝起きをともにさせた。案の定、24日にはあらためてPCR検査をおこなった結果、この3名のうち1名が陽性と判明。しかし、陽性の1名を他のブロックに移動させて、残った2名をまた同室で収容しつづけた。そして昨日(3月1日)、この2名のうち1名の陽性が判明したわけである。
つまり、感染者が出たのに、その濃厚接触者どうしを同じ部屋で寝起きさせるということを東京入管はつづけたのである。あとから因果関係を検証するのはむずかしいにせよ、同部屋ですごしていた4人のうち3人が感染するという結果になったのはなんら不思議ではない。感染者の増加をふせぐのにまったく適切ではない行動だったのはあきらかだ。まるで外国人を実験台にして、ウイルスの培養実験でもやってるかのようにもみえる。あまりにもあんまりで、ひどすぎる。
そういうわけで、午前中に東京入管の総務課に電話して抗議し、陽性の判明した被収容者にきちんと治療を受けさせることと、陰性と確認された人については、仮放免か在留資格の付与によってなるべくすみやかに収容を解くように申し入れた。これまでの経緯をみて、東京入管には、すでに起きている集団感染に対応するのに必要な能力があるとは思えない。収容されている人の生命をまもるには、収容を解ける人から解放していくことをいそぐしかない。
関連
東京出入国在留管理局収容施設における新型コロナウイルス感染の状況 | 出入国在留管理庁
仮放免者の会(PRAJ): 東京入管収容場でのクラスター発生に関し、申し入れをおこないました
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追記(3月4日、22:33)
上記の情報を提供してくれた被収容者から、4日にまた電話があった。
上に述べた同室で起居してた4人のうち3人の感染が確認されていた件で、のこりのもう1名も昨日(3日)にPCR検査で陽性と判定されたとのことである。
2月16日に最初の1名が陽性と判明したのちも、その濃厚接触者3名を入管はおなじ部屋で雑居させた。3月1日までの2週間、東京入管はこの部屋の雑居状態を解消せず、ついにこの部屋ですごしていた4名全員が感染してしまったのである。
最後に陽性と判明したかたは、2月16日、24日、3月1日と3回のPCR検査は陰性で、4回目になる3日の検査で陽性と判定された。この間、東京入管は開放処遇を中止しているので、他の部屋の被収容者や職員と接近する機会はかなり限定されていたはずであり、同室の被収容者から感染した可能性が高いのではないだろうか。
現在のこの集団感染が生じている状況において、東京入管が対応能力を欠いているのはもはやあきらかである。
2月26日に関東弁護士会連合会が出した「入管施設における新型コロナウイルス感染症の集団感染を受けて,被収容者の解放等を求める理事長声明」は、つぎのように指摘している。
東京出入国在留管理局において,最初の感染者の判明から10日が経過しても感染者が増加を続け被収容者の4割を超過した事実からは,収容施設が自らが策定したマニュアルを履行できず,またマニュアルが想定した事態を超えて感染症対策を適切に実施することができない状態が発生していることが強く懸念され,そのような収容施設での収容を継続すること自体が人権侵害である。
まさにその通りだと思う。
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